Vol.13 新宿区役所 新宿ルールと協議会の取り組み

 

新宿区役所

危機管理課長 鯨井庸司氏 インタビュー(実施日:平成30年3月28日)前編

INTERVIEW

2018/4/26

 

1日350万を超える方が出入りをするという新宿。オフィス街と繁華街が共存する新宿ではどういった防災対策を取られているのか。今回は新宿区役所で危機管理課長を務められている鯨井庸司氏に、新宿駅周辺地域の防災対策についてお話を伺ってきました。

 

平成21年に策定された新宿ルール

 

「新宿ルール」(① 組織は組織で対応する[自助] ② 地域が連携して対応する[共助] ③ 公的機関が地域を支える[公助])は、震災時における新宿駅周辺地域の混乱防止を目的として、「自助」「共助」「公助」の考え方をもとに平成21年3月に定められた、この地域の防災対策の基本方針です。とりわけ「自助」というのは防災対策の基本なので、各事業所さんや学校、あるいは商店街ですとか、それぞれまずはご自身で対応していただきたいという想いが込められています。発災直後は、むやみに動かないというのが基本ですので、そのための水食料の準備などについては、それぞれの組織でしっかりと対応して頂くことが大事になります。

 

 

新宿は非常に多くの方が訪れる街なので、発災時には大規模な混乱が発生する恐れがあります。そういった、それぞれの組織単体では手に負えない大きな課題については、協力して対応しましょうというのが「共助」です。例えば新宿御苑に避難する必要があっても伊勢丹の前は通ることが出来ませんとなった場合、どういうルートだとスムーズに新宿御苑に行けるか、といった新宿駅周辺に限ったローカルな情報はテレビやラジオなどが発信する幅広い地域の情報からは得ることができません。こういったローカルな情報を新宿駅の東西に立ち上げた現地本部(東口現地本部は新宿区役所第一分庁舎に、西口現地本部は工学院大学新宿キャンパスに、それぞれ立ち上げる予定)で収集し必要な人達に伝えていきます。最後の「公助」には、新宿区や東京都、国等の行政組織が連携・協力して、こういった地域の取組を支援していくという意味が込められています。

 

また、「新宿ルール」に基づく発災時の行動指針として、平成28年6月に「新宿ルール実践のための行動指針」を作成しました。この指針においては、大規模地震が発生した際の新宿駅周辺地域においては、①むやみに移動しない ②現地本部を中心に連携する ③地域で傷病者に対応する という3つの行動ルールを定めています。

 

新宿駅周辺防災対策協議会の取組み

 

新宿駅周辺地域では、大規模地震発生時の混乱防止を目指して官民学連携の「新宿駅周辺防災対策協議会」が活動しています。年1回の総会の他に東口と西口に分かれて地域部会があり、それぞれの部会の活動として、実際に日本赤十字社の方や消防署の方に来ていただいて訓練や講習会などを行っています。

西口地域部会の訓練を紹介しますと、まず訓練種別が大きく分けて3つあるのですが、1つ目が自衛消防訓練になります。発災時にはまずは自分のビルの安全、あるいは自分のビルのテナントさんの安全確保をする必要がありますので、その手順をこの訓練で学びます。それと同時に傷病者対応訓練と現地本部立ち上げ訓練、計3つの訓練をやっています。

 

 

傷病者対応訓練では、訓練参加者を傷病者と対応者に役割分担し、傷病者役については、例えば骨折しているとか、傷があるとか、血が出ているとか、そういったことがひと目で分かるようにメイクアップをして重症者と軽症者を分けます。重症者は手当てすることができないため災害拠点病院に運ぶ必要がある一方で、軽症者は病院には運ばず、その場での必要最低限の処置で済ませるなど、怪我の程度によって適切な対応判断ができるようなスキルをもちましょうというのがコンセプトです。

 

東口地域部会の訓練は、現地本部立ち上げ訓練と負傷者対応訓練の2種類です。西口地域部会の訓練と大きく異なるのは、負傷者対応訓練をこのエリアの災害拠点病院である大久保病院のスタッフと一緒に実施しているため、訓練内容がかなり実践的であることです。大規模地震が発生すると、大久保病院には多数の傷病者が押し寄せて混乱が発生する可能性があります。それを防ぐためには、軽症者については関係する事業所等で対応し、それ以外の中等症者や重症者については事業所から病院に引き継ぐという、地域で傷病者に対応する体制が必要です。その体制を目指して、事業所、医療機関、区が連携した訓練を実施しています。

 

また、これらの訓練はやりっぱなしにせず、検証の機会を設けています。具体的には、訓練の1か月後くらいに開催する検証会において、訓練参加者が訓練を振り返って改善点等について議論を交わし、次年度の協議会活動につなげています。

 

 

後編へ続く

 

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