Vol.12 港区役所 区民と行政が一体になった防災

 

港区役所

防災課長 佐藤博史氏 インタビュー後編

INTERVIEW

2018/4/12

 

東京都の中でも非常に人口の多い港区でどういった防災対策をとられているのか。前編に引き続き今回も港区役所で防災課長を務められている佐藤博史氏に、普段実施されている防災イベントのことや、港区の防災課長として区民の方へのメッセージなどを伺ってきました。

 

地域の方が自発的に行うものを区が後押しする形

 

防災イベントなども考え方の根底としては、行政が何かをやってそれに事業者が乗ってくるというよりも、事業者や地域の方が自発的にやるものを区が後押しするというのが非常に美しい形だという考えがあります。先月2月にアルピニストの野口健さんに協力頂き、子どもたちに防災を覚えてもらうことを目的に開催された「防災チャレンジ運動会」というイベントも、まさにそういった形で実現しました。我々は、場所の提供ですとか、あとは参加してくれた子どもたちにお土産として防災備蓄を有効活用という形で渡したり、そういった形でお手伝いをしています。このイベントは、子どもたちに楽しみながら防災というものを伝えて、逆に子どもたちから親に教育してもらいたいな、という狙いもありました。3月10日はNHKで放映され、3月11日は日テレの番組で紹介があったり、大成功だったと思います。

 

 

印象的だったのは、イベントの中で野口さんが「3日間は自分たちで生きるんですよ」と言ってくださったことです。「助けは来ないと思ったほうが絶対いいから。助けが来ると思って来ないと、何も出来ないで死んでしまうから。自分たちで生きるんだって思ったほうがいいよ」と。イベントの終了後、野口さんとの会話の中で、「あの言葉を言ってくださって非常に助かりました。」と伝えると、「行政は言わないんですか?」と返ってきました。「行政が言うとそれはサボるためでしょ、とか言われてしまうんです…」と伝えると、「そうか、そういうことか。じゃあ僕色んなところでそれを言っていくよ」と、そういった風に言っていただいて。こういうことは、発信力のある方が言ってくださることで皆さんの心に響くので非常に有難いなと感じました。

 

 

区が主体となって行っているイベントや取り組み

 

勿論、区が主体となって行っているイベントや取り組みもあります。港区の中で1000人、防災士の資格を取っていただく計画を立てています。当然資格を取って終了ではなく、地域の災害対策に向けて活動してもらったり、講演会やイベントなど、宣伝普及啓発活動を行っていただく予定です。現在は600人くらいですが、あと3年で1000人を目指しています。

 

また、平成29年度から開始したもので「防災カルテ」の作成があります。港区は人口の9割が集合住宅に住んでいますが、その中で、6階以上、50戸以上の建物を高層住宅と位置づけると、全体の8割、約10万世帯が高層住宅に住んでいることが分かりました。災害発生時、高層住宅では高層階の方は一旦地上に降りてしまうと部屋に戻れなくなってしまうこともあり、在宅避難がとても重要になってきます。という話をどのようにすればいいか、ということで「防災カルテ」というものを作ることになりました。我々が病院に行くとカルテが1人ひとりありますよね。そのカルテのマンション版を作ろう、ということではじめました。アンケートを連絡先の分かる650棟へ送って、164棟から回答をいただき、164棟分のカルテを作りました。それぞれのマンションの強みと弱みを出して、どういった防災対策を取ればよいのかなど、実際に区の職員が直接説明にうかがっています。

 

 

あとは若者に防災意識を持ってもらうために何かできないか、ということで、「防災アイドル」と銘うってアイドルグループと防災を学ぶイベントを開催してみました。また、港区には大使館があることから、国際イベントの枠の中に防災の時間を作っていただいて、防災のことを話題にしてもらえたらと考えています。大使館の方も日本の災害に対して非常に興味を持ってくださっているので、とても効果的だと思っています。

 

 

防災課長として、区民の方へのメッセージ

 

いつも話していることで、「2つのない」という話があります。「2つのない」とは何かと言いますと、1つ目は「災害時にけがをしない」です。それがないと始まらないのです。怪我をすると人の手を借りることになりますし、怪我をしなければ人の手になれます。プラスマイナス1の合計2人分のマンパワーの違いが出てきます。地域の人には「自宅でけがをしない」という言い方をしていて、家具が倒れないように留めたり家具の高さを低くしたり、家具自体を減らしたり、倒れても大丈夫なように家具の置き方などを工夫したりしてください、と伝えています。

 

もう1つのないは「災害時にひとりぼっちじゃない」ということです。命を守る行動としては1人でも逃げる、というのは当然なのですが、ただその先、ずっと1人は不安で不安でしょうがないと思います。その際に知っている顔がいると、それだけでほっとして冷静な判断ができますので、日頃からの区の事業への参加や清掃活動、交通安全活動への参加なども私からすれば防災訓練で、顔を合わせる関係、そこで顔見知りになって、「あのときの誰々」という風になれば、1人じゃなくなる機会が増えます。遠くから港区へ遊びに来ていて、災害があったときに顔見知りとなると限定されてしまいますが、区内の地域の方々には「1人じゃないように」ということを言っております。家にこもってゲームも楽しいかもしれませんが、お天気の日は、外で遊ぶ、自分からコミュニケーションをとる、積極的に町会自治会活動に参加してみてください。

 

 

前編はこちら

 

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