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2017/11/10
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雪崩への備え
日本は国土の半分以上が「豪雪地帯」に指定されています。冬になり雪が降り始めるにつれ多くなるのが雪の事故・災害です。その中でも広範囲にわたって甚大な被害を及ぼすのが「雪崩」です。登山やスキー、スノーボード、レジャーなどの目的で訪れる方が毎年被害に遭い、命を落とすことも少なくありません。安全に雪山を楽しむにはどのような備え・知識が必要なのでしょうか。
雪崩への備え
雪崩とは斜面に積もった雪が、重力の作用により下方に滑り落ちる現象を指します。なお、雪崩は"すべり面"の違いによって、「表層(ひょうそう)雪崩」と「全層(ぜんそう)雪崩」の大きく2つのタイプに分けられます。
雪崩が発生しやすい場所
・斜面
雪崩は降り積もった雪が滑り落ちる現象なので、大半は斜面で起きます。特に傾斜30°以上になると起きやすく、35°~45°が最も起きやすいといわれています。また30°以下の緩やかな斜面や60°以上の急斜面では比較的起こりにくいということがわかっていますが、注意が必要です。
・低木林やまばらな植生の斜面
中高木が密に生えている斜面では雪崩が発生しにくい一方、低木林やまばらな植生の斜面では雪崩発生の危険が高くなります。笹や草に覆われた斜面などは裸地よりも発生しやすい地形です。
主な雪崩の前兆現象
雪崩被害を防ぐには
雪崩から自分を守るには、雪崩に対する正しい知識と理解を深めること、また目的地に行く際に、行き先の情報、状態を確認することが重要です。それとともに、日ごろから防災の意識を持ち、いつ自分の身に降りかかるかもしれない災害の備えをしておきましょう。
もし雪崩に遭遇したら
もし自分あるいは自分の近くで雪崩が発生した場合の対処法を、全国地すべりがけ崩れ対策協議会「雪崩対応安全ガイドブック」では具体的な対策を紹介しています。そのうちのいくつかをピックアップします。
■雪崩が自分の近くで起きた場合
1. 流されている人を見続けること
2.仲間が雪崩に巻き込まれた地点(遭難点)と、見えなくなった地点(消失点)を覚えておく
3.雪崩が止まったら見張りを立て、遭難点と消失点にポールや木などの目印をたてる
4.すぐに雪崩ビーコン(無線機)などを用いて、捜索する
5.見つかれば、直ちに掘り起こして救急処置を行う
■自分自身が雪崩に流されてしまった場合
1. 雪崩の流れの端へ逃げる
2.仲間が巻き込まれないように知らせる
3.身体から荷物をはずす
4.雪の中で泳いで浮上するようにする
5.雪が止まりそうになったとき、雪の中での空間を確保できるよう、手で口の前に空間を作る
6.雪の中から、上を歩いている人の声が聞こえる場合があるため、聞こえたら大きな声を出す
持ち物
雪山など、雪崩が起きる可能性がある場所へ行くときに必要な「3種の神器」というものがあります。この3つは付近で雪崩の被害にあった人を救助するためのもので、全員が持てば救助が早くなり、生存率が上がります。
ビーコン
ビーコンは埋没者を「探す」ためのものです。普段は送信モードにセットし、特別な信号を発信します。受信モードに切り替えることで送信モードになっている他のビーコンの場所を特定します。ビーコンを持っていない埋没者を探すのは極めて困難であり、その場合の生存率はほぼゼロに等しいと言われているので、雪崩の可能性がある場所へ行くときは必ず持ちましょう。
プローブ
プローブは埋没者の場所を的確に「特定」するものです。ビーコンでおおよその場所がわかったら、プローブを雪面に刺し、埋没者の場所を特定します。
捜索者が4人以上いるときに有効な3点プローブ。
シャベル
シャベルはプローブで場所を特定した埋没者を雪から「掘り出す」ためのものです。シャベルは雪質チェックや雪洞作りなどにも重宝するので、組み立て式なものを1つリュックに入れておくといいでしょう。
ウィンタースポーツ、レジャーなど冬には冬の楽しみがあり、待ち望んでいる人も多い季節です。しかし、楽しみだけではなく、命の危険が身近にあるということを理解しなければなりません。雪山の正しい知識を理解し、安全で楽しい冬にしましょう。
参考
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201311/4.html
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/349/57/nadaregide,1.pdf
http://www.howtosnowboard.jp/pages/bc3item.html