Vol.2 英治出版株式会社「出版社として出来ることを続けていきたい」

 

英治出版株式会社

出版プロデューサー 下田理氏インタビュー後編

INTERVIEW

2017/09/07

英治出版株式会社で出版プロデューサーを務める下田理氏のインタビュー後編です。東日本大震災発生時のエピソードや普段から会社として心がけられていることなどを伺いました。

 

 

ささやかですが、できることはやろうと

 

東日本大震災発生時、社員から帰宅困難となった方にオフィスを開放しましょうというアイデアが出ました。駅前のロータリーには大勢の方が寒い中長蛇の列を作っていました。社員で手分けして、直接声をかけたりtwitterで発信したりして呼びかけを行いました。夜遅くに電車が動いたので家庭に戻る必要のある社員は帰り、オフィス開放のアイデアを出した彼と私が残って対応しました。10数名の方がお越しになり、ダンボールを敷いてその上で朝まで過ごしました。

 

周りの会社さんも「オフィス空いています」とお声がけしていらっしゃいましたね。誰もが助け合っていましたし、普通のことだと思います。ささやかですが、できることはやろうと。震災後の防災活動としては、まだまだ手をつけきれていない部分もあるのですが、社員同士の緊急ホットラインを作ってその連絡テストをしたりしています。

 

 

 

出版社として出来ることを続けていきたい

 

震災発生前から元々あった企画で、地域コミュニティの課題解決に向き合ったものがあります。こちらは同年11月に『地域を変えるデザイン』というタイトルで出版しました。デザイナーのための本というよりは、デザインの力で地域の課題を解決し、地域コミュニティをつなぐと良い事が生まれるのではないか、という視点から制作したものです。

 

『地域を変えるデザイン――コミュニティが元気になる30のアイデア』

 

本書では、各地にある地域コミュニティの課題を解決するための色々なアイデアが紹介されています。その中の一つに、阪神大震災の時に生まれた「できますゼッケン」というものがあります。ボランティアの方に色々なことをお願いしたいけれど、仕事の割り振りがうまくいかないという悩みがあったとします。そんな時に「私は手話ができます」と自分ができることの宣言をしてもらうツールです。ほかにも地域やコミュニティの活性化に関わるような書籍がありますが、震災や復興に関わるコンテンツも増えています。

 

今年に入ってからも、東日本の復興支援活動をされている立花貴さんの本を出版させて頂きました。立花さんは、震災直後に仙台に住まれていたご家族の安否確認のため現地に入ったのがきっかけで、地域再生の取り組みを長年にわたって活発に行われてきた方です。東京から雄勝町へ住民票を移し、東京と雄勝間の往復約1,000Kmの道のりを6年で600往復もされています。町おこしとして、地域の住民の方たちを巻き込みながら総合体験施設を建てたり、また、そこで自然と住民の方同士が触れ合えるような場所を作ったり、東京で現地の水産物や農産物を食べられるレストランを運営したり。本当に色々なアイデアを実行に移されています。

 

『ひとりの力を信じよう――「今あるもの」で人と地域の未来をつくる』

 

 

震災により限界集落や地域コミュニティの問題が顕在化する、というのはよく言われていることですが、立花さんのような活動が広く知られることで、各地で実践する人が広がっていき、少しでも問題の解決につながっていくといいなと思っています。そうした出版を通じての応援は、今後も続けていきたいです。

 

 

前編はこちら

 

 

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