Vol.1 ハウス食品グループ本社株式会社「非常時も美味しく食べられるものを」

 

ハウス食品グループ本社株式会社

広報・IR部 前澤壮太郎氏インタビュー前編 

INTERVIEW

2017/08/29

災害時や非常時、また火が使えないような時でも『できるだけ多くの方においしく食べていただける』をコンセプトに開発された業務用備蓄レトルト食品のLLヒートレスシリーズ。2013年3月に「LLヒートレスカレー 温めずにおいしい野菜カレー」、今年の3月に「LLヒートレスシチュー 温めずにおいしい野菜シチュー」が発売され、官公庁、自治体等の公共施設、学校法人、病院施設、一般企業などで備蓄品として採用されています。今回は発売元であるハウス食品グループ本社株式会社の広報・IR部 前澤壮太郎氏に、発売に至った経緯や製品開発エピソード、製品の特長などについて伺ってきました。

 

 

家庭用製品として発売したのが始まり

 

以前から毎年夏になると、「レトルトカレーを温めずにそのまま食べられませんか?」というお問い合わせをコンスタントにいただいていました。温めるとどうしても部屋の温度が上がってしまうので、レトルトカレーを袋から開けてそのまま食べたいと。それなら、温めずに食べられるカレーというものを出せばお客様のニーズに応えられるのではないかということで、まずは2011年6月に温めずに食べられる「夏のカレー」という製品を家庭用として発売したのが始まりです。

 

この家庭用製品は6月~8月までの期間限定で発売したのですが、その年の3月に東日本大震災があった影響もあり非常に大きな反響をいただきまして、これは温めないで食べられるカレーを通年で販売をしたらニーズがあるのではないかということで、その年の8月にまた別の「温めずにおいしいカレー」というものを同じく家庭用として発売しました。

 

その一方で自治体や企業様から、「家庭用ではなく、まとまった単位でそういった備蓄用レトルトカレーはありませんか?」というお声も多数いただいていました。長期保存のレトルトカレーというものはそれまでの製品でもあったのですが、「温めずにおいしい」という部分に大きな反響をいただいていましたので、温めないで食べられてかつ長期保存可能なレトルトカレーを出そうということになり、2013年3月に業務用第一弾の「LLヒートレスカレー 温めずにおいしい野菜カレー」の発売に至りました。

 

▲常温で5年間保管可能なハウス食品のLLヒートレスシリーズ

 

 

こちらの業務用製品は、流通期間や納品までの期間も加味して常温で5年6ヶ月(66ヶ月)後の賞味期限をつけていますので、納品日から換算しても5年間の保管が可能です。なぜ5年間かというと、自治体の入札要件で防災備蓄用の製品は5年間持つのが望ましいというものがあります。一番分かりやすいものですと、ミネラルウォーターが5年間持つものが多いです。企業様などで備蓄する際、他の防災用品とできるだけ保管期間を同じにした方が切り替えの手間も省けます。発売前にこういったご要望もいただいていたので、その基準に合わせて開発を進めていきました。

 

製品発売前に行う試験で、過酷度試験というものがあります。この試験では、あえて過酷な条件で製品を保存することで、本当に5年間持つのかどうかということを計測できます。こういった試験を積み重ね、試行錯誤の末に当社製品で初めて5年以上の賞味期間を実現しました。

 

 

長い避難所生活になっても食事に飽きないように

 

東日本大震災の時に実際に避難所で提供された食事メニューをまとめた資料があるのですが、それを見るとおにぎりの比率が非常に高いことが分かります。炊き出しでご飯は一気に炊けるのですが、そのご飯をどういう風に食べていただくかとなると、やはり避難所という場所である以上、メニューも制限されてしまいどうしてもおにぎりに偏ってしまいます。でもおにぎりばかりだと食事に飽きてきてしまいますので、避難所生活が長くなった時でも、もう少し違う形で食べられるようなものをという想いがありました。また、栄養不足になりがちな避難所生活でもしっかりと野菜を摂取できるように、カレーもシチューも生野菜換算時に80g 分の野菜が摂れるように設計しております。

 

(参考)東日本大震災の時にK避難所で提供された食事メニュー

 

3/24

朝 おにぎり1個、魚缶詰、漬物

昼 パン1個、コーヒーゼリー1個

夕 おにぎり1個、馬肉チャーシュー

 

3/25

朝 おにぎり1個、漬物、みそ汁

昼 おにぎり1個、みそ汁

夕 おにぎり1個、みそ汁、ハム1枚

 

3/26

朝 おにぎり1個、ハム1枚、豆乳1本

昼 おにぎり1個、ニシンの昆布巻き

夕 おにぎり1個、ゆで卵1/2個、らっきょう(炊き出し:カレー)

 

 

一般的なレトルトカレーとの違い

 

レトルトカレーは放っておくと中で水分が分離してしまいます。一般的なレトルトカレーは鍋で温めることを想定して製造されていますので、温めるとことによって分離した水分を元に戻すことができるのですが、長い時間保管し、さらに温めていない状態でも離水させないようにしなければならない。これを実現するのがまた大変だったと聞いています。

 

 

また、一般的なレトルトカレーは動物性の油脂を使い小麦粉でとろみをつけるのが主流なのですが、動物性の油脂も小麦粉も常温だとぼてぼてっとしてしまう。それは油脂の油分や小麦の物性に問題があるのですが、常温でもさらさらとし融点の低い植物性油脂を使うことで解決しています。

 

小麦粉も一切使用していません。小麦粉を使わないと、今度はとろみがつかないといった問題が出てくるのですが、野菜や果物の繊維で上手くとろみがつくようにすることで、こちらの問題も解決しました。さらに、お肉を使用しないことで旨みが物足りなくなってしまわないように、トマトなどの旨味成分の多い野菜を使用し、にんにくで味にアクセントをつけています。

 

 

▲LLヒートレスカレー 温めずにおいしい野菜カレー

▲LLヒートレスシチュー 温めずにおいしい野菜シチュー

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